飛距離アップのための瞬発力
飛距離を伸ばすうえでカラダの回転スピードを上げることは皆さんもご存知だと思います。
しかし、その回転力はどこから生まれているかが意外とあやふやだったりします。
「ただなんとなく脚かな〜」
「カラダの柔軟性かな〜」
といった漠然とした感覚ではないでしょうか?
もちろん本に書いてあるストレッチや筋トレをしても問題はないと思います。
ただしっかりと結果を求めるのであれば明確に飛距離アップに必要な
“知識”を理解してトレーニングを進めていかなくてはいけません。
そこには
「なんとなく」
という理解度ではなく、
明確に
「この要素にはこのトレーニングが必要」
だと理解することです。
そのために私が常々お客様にお伝えしているのは
地面を瞬発的に押す力が大切であること。
具体的には学校の体力テストで行っていた
「垂直跳び」の能力です。
この力によってカラダの回転スピードが上がるようになっています。
なんだか “ 地面を押す力 = 飛距離(回転力)”
があまりピンとこない方もいらっしゃると思います。
そういった方にはまず下の表を見て下さい。↓
これはある雑誌で行った女子プロ(一部の女子プロ)の体力テストの結果です。
それを最大飛距離順に集計しました。
いかがでしょうか?
垂直跳び以外の種目には飛距離との関係性が見られないですが、
垂直跳びに関しては明らかに飛距離が大きいほど垂直跳びの結果も良くなっています。
これは地面を瞬発的に押す能力が飛距離アップに大きく関係している一つの証拠にもなります。
また、男子PGAツアー選手の体力テストでも、(2016年の論文)
垂直跳びの能力にヘッドスピードとの相関関係が高いことが示されています。
『PGAツアー選手のヘッドスピードの決定要因』↓
実験では選手たちに3種目の運動動作をしてもらい、それぞれの記録を測定して、ヘッドスピードとの関係性を調べました。
内容は以下の通りです。
・スクワットジャンプ(ジャンプ力)
・シーテッドメディシングボールスロー(腕の力)
・ローテーショナルメディシングボールスロー(捻る力)
*メディシングボールの重さは4kg、それぞれ3回の測定。
結果はスクワットジャンプの*相関係数が0.817と一番高く、
2位はシーテッドメディシングボールスローの0.706、
最下位はローテーショナルメディシングボールスローの0.57でした。
*相関係数とはそれぞれの運動がヘッドスピードの結果とどのくらい結びついているのかを表していて、1.0に近い程、関係性が高いことを示しています。
こういったデータを見ていくと垂直跳びの能力がいかに重要かが分かります。
瞬発力を高めるトレーニング
では実際にその垂直跳びの能力を上げるにはどうすればいいのでしょうか?
これは一つの方法として
“クイックリフト”をお勧めしています。
イメージしやすいのはオリンピックの正式種目でもある重量挙げです。
(リオオリンピックでは三宅選手が銅メダルをとった種目)
一見、垂直跳びと重量挙げは関係なさそうに見えますが、実はとても関係が大ありなのです。
それでは下の表を見て下さい。↓
これは実際オリンピックに出場した女子の種目別による垂直跳びデータです。
いかがですか?
ジャンプ力が最も高そうなバレーボールや体操競技の選手よりも
重量挙げの選手の方が垂直跳びの結果はいいのです。
重量挙げは上半身や腕の力で挙げているように見えますが、
ほとんどは脚の瞬発力を使って自分よりもおもたい重りを一気に持ち挙げています。
*この能力のことをRFD(Rate of Force Developmoent)といいます。
これがスウィングの性質上、飛距離アップのために大切な能力になってくるのです。
もちろんお客様に重量挙げで行うような超高重量を勧めたり、
超精密な動作フォームを求めているわけではありません。
あくまでもスウィング中に地面を瞬発的に押す力を獲得してほしいのです。
最初はコツを掴むまでに個人差がありますが、
慣れてくると手や腕を使わずに力を出す感覚がわかってきます。
もちろんこういったトレーニングをおこなう前に
基礎の筋力や柔軟性、カラダの動きを高めていく必要があります。
急にトレーニング1回目から「100kgでやりましょう!」などと無茶なことは言いません。
瞬発系トレーニングの難易度が高い分、カラダの土台ができていないとケガをしてしまう恐れがあるからです。
そのために姿勢や柔軟性、体幹の力、動きの癖を一度見直し、
次の段階のトレーニングにシフトしていくことが大切です。
こういったカラダ本来の土台を作ることがゴルフには重要なのです。
その上でスウィング技術をさらに高め、ゴルフクラブもあなたに適したものにしてほしいと考えています。